体 験 談

能代市中川原 大塚 日出夫 (六十二歳)


 四十七年七月九日快晴の日に、まさか堤防が決壊するとは夢にも思っていませんでした。明治町から見た我が家は、小さな三角形の屋根しか見えなく、呆然とした気持ちで、これからどうしよう、又、どうしたら良いかも頭になく、ただ、ただ見つめるだけでした。
 一夜明けた家に、足を踏み入れ、泥の状態の我が家、壁、天井からまだ水がしたたり落ちてる現状に、涙が出るくらい情けなく、しばらく、ぼーとして動く事も出来なかった事が思い出されます。角スコップと雪ベラで、泥を出し、畳、布団などは、とても一人で出せなく、包丁で切って引きずりながら出した事が、脳裏から離れることなく、三十年経った今も、水害の恐怖は、今なお生々しく身にしみて感じております。
 四十四年三月に中川原に住み、親子三人平和な日々も、三年間で借金地獄に悩まされた苦い経験をいつまでも引きずっては、立ち直れないと心に決め、友人親戚 の人達に助けられた。人間の温かさを身にしみて感じました。 二度と、あの惨事にならない堤防を、又、二ツ井地区にあるような一メートル位 の護岸を堤防の上に設置してもらいたいし、実現することを望みます。側帯工事も、順調に進み桜並木の堤防と護岸画廊と合わせ、散策路、せせらぎ公園と恵まれた自然環境の中で、私達も出来るだけ協力し、子供、孫の時代に残る立派な堤防になる事を是非、実現してほしいと願うものです。



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