第1回米代川流域委員会 議事概要
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○今日の委員会は、特に話題を限定しないで、常日頃、米代川について考えていることや、米代川が秋田県の中でどの様な役割分担をすることになるのか、あるいは、米代川が整備されることが秋田県全体あるいは東北全体をこういう形で変えるとか、日本にとってもプラスになるというような、少し、大上段に構えた話や、米代川を常日頃、利用されておられる立場で、考えていらっしゃることをお話ししていただきたい。 ○流域内すべての河川がつながっており、いろいろな魚がそれぞれにすんでいる。米代川の本川も大切であるが、小さな川も大切である。また、漁業権漁場を持っている漁業協同組合には、事業・工事の説明を行い、河川の自然を守るために地域の声を生かしていただきたい。 いろんな方々が河川に関心を持ち、河川とかかわりを持ち、そして、自然を大切にし、治水も利水も環境も大事にして、立派なふるさとを構築・創造していく。そういう意味から、こういう河川工事をやりたい、魚のためにはこういう工事をしたいというふうに県や市町村では、工事に入る際に説明を行い、みんなが力を合わせてよいふるさとを創造していくというふうに変わってほしい。 ○県北地域の観光振興の中で、米代川に対する県北地域の人たちの意識が非常に高い。観光の一部として米代川をいかに出していくかということは、県だけではなく、国土交通 省とともにやっていかなければ、米代川の保全というものは考えられない。 大きな出水がなく、河川の中に大きな石が埋まってしまっている。川の中の魚の環境ということを考えた上で、産卵の時期を外して川床を堀返し、少しでも大きな石を表面 に出すということを考えられないかと思います。 アユについて、冷水病ということが多く騒がれている。これは川の中に冷水病の原因菌となるものが蔓延しているという話もあり、その原因菌を川の中から除外するには、秋田県だけの力ではできないと思う。これは米代川だけじゃなく、他の河川でも起こっていることなので、その研究を、国土交通 省で力を入れていただければ非常にありがたい。 ○川は、観光の面でも非常に幅広いフィールドであり、川の遊び方も多岐にわたる。川を観光、もしくは地域の経済につなげるとすると、やはり優れた自然環境と景観が絶対必要になってくる。 川の活用の仕方については、若干のルールや住み分けといった、川はみんなのものだという認識が必要だと思う。川をどうやってみんなで観光資源にしていくのかという認識、住み分けといった、活用の仕方も含めて考え、地域の経済に河川を活用できないかという観点でも河川整備計画を作成していただきたい。 ○昔の川での遊びの楽しさを想起し、語る人が多い。それは川と人々が多面 的にかかわりあいを持ち、川が生活の中に生きていたからだと思う。現在川を取り巻く状況も世の中の枠組みも変わっている。人と川とのつきあいも当然変化し、疎くもなっている。 そうであっても、川と人々の生活とかかわりあいをもつことは、内面 的な面も含めて必要であるのは自明のこととしていい。存在する川の多面 性を十分視野に入れ、どういう形で川を次世代に引き継ぐのか。自分の中にある川を想起し、現在の川のありようと突き合わせることも必要かと思う。 ○川のことを考えるとき、人間が生活している中流から下流に目が向けられる傾向にある。上流にはたくさんの支流があって、いわゆる源流がある。山や沢を歩いて非常に感じることは、今から30年前、40年前に比べると山が荒れた。治山とか治水とか環境という割りに、その源である源流、これがきちんとしていなければ幾ら下流の整備をしても意味がない。 水の問題というのは、近年の秋田杉の全くの無法状態とか、非常に山が荒れているということが根本にある。中流や下流の計画を立てる場合には、やはり源についても関心を向けて、ぜひ森林管理局といったところとの連携もぜひしていただきたい。 ○米代川の上流部に暮らす人々の一番の努めは、きれいな水のままで中流・下流に流さなければいけないと思っている。 県でも米代川の上流部分、あるいは支川に非常に力を入れて、上流の河川の環境整備を行うとしている。米代川の水質は総じて良好であるが、大腸菌群数は、基準値の何十倍の数字が出ているところもあり、市や県に対しても改善のための施策を働きかけていきたい。 ○米代川は本州で一番サクラマスが有名な河川だ。そのサクラマスは、ものすごい勢いで減ってきている。いろいろな原因の中で、河川との関係で考えられることは、越夏するための大きな淵がなく、特に夏の一番水量 が少ない時に大きな淵がないため親が産卵期まですごせないことが考えられる。 米代川の淵を守るためには、上流の問題や河畔林など、いろんな問題について総合的な取り組みを行わなければならない。米代川のシンボルとしてのサクラマスやアユ、あるいはすべての生き物を守るためには、生息に適した物理的な環境が是非とも必要で、その環境を再生するなり、復元するために、漁業関係者や釣り人、工学系の人など、それぞれの専門家が一緒になって取り組むことができたらと考えています。 ○水のことを考えるときに、取り入れる水質のことは水道局だ、出ていく水は下水道課だ、でも、川のことは自治体では土木課だとかとなると、ともに課を超えて話し合いをしていかなければならない時代に来ていると考えている。 デンマークで日本ほどきれいではない水を飲んでおり、出ていく水は雨水までも浄化して川に流しているというのを聞いて、デンマークや北欧というのは、日本とは少し違った観点で環境を考えていると思う。日本は雨水は側溝から川に直接流れ、汚水だけは浄化をするという考え方であり、しかも、まだ基盤整備ができていない。やはり環境を考えるならば、どこまでやるかというのは本当に皆さんで議論しないと、お金ばかりかかると思う。この機会に米代川をもっときれいにするということを考えるならば、その辺の視点を少し変えていかなければいけないと感じている。 ○昔から見れば、今の米代川というのは大分濁っているように思える。昔は少しぐらい雨が降ってもそう濁らなかった。昔はほとんど砂と石の川原だったが、今は泥が多いと思う。なぜこういうふうに変わるのかなという素朴な疑問がある。 今は、ほとんど生活排水を直接、川に流しているという状態なので、そういう諸々のものが最終的に泥になって下流に流れてくるのではないかというような気がする。 昔は護岸工事というと、ほとんどセメントというものは使わなかった。昭和20年から30年代はほとんど粗朶や沈床で行った。そうした場所にたくさんのサクラマスがいた。沈床には、魚の集まる何かが起きているのではないか、昔の工法を導入してみれば何かが生まれてくるかなと思う。 ○川というのは基本的に安全性が大事だと思う。これから川の整備ということを考える上においても安全性には重要な関心を払っていただきたいし、私たちも関心を持ち続けていきたいと思う。 また、米代川については、自然河岸のよさというものを高く評価されている。そういうよさというものを今後とも持ち続けていきたい。 米代川流域というのは白神山地の恩恵を受けて暮らす地域であるので、非常に貴重な自然があるということを十分認識して、それを誇りにしながら、川自体もそういうことに恥じないようにしていかなければいけないと思う。 川について、ふだん思うときに、川の情報が非常に不足している。水質や水量 についてデータとしては把握しているが、日常的に話題になるような情報としては提供されていない。川に関する情報をもっと日常的に住民に返すというか、人の暮らしに対して川の状態を伝えていくというようなことを行う必要がある。 川を整備していくということと、流域の山の伐採というものが今までほとんど無関係に行われてきている。治水と無関係に上流の山の伐採というものが行われてきた結果 が、魚や水質の問題に関係があると思う。木は切るけど植林はしないということは、治水を考えるときに非常に重要な影響だと思うので、川を考えるということと、伐採を含めた森林の管理というものの連携をぜひとっていただきたい。 昔から川の安全を守ることは、上流にダムを造ることや堤防を整備するということで、今まで来ているが、いろいろ物の考え方も変わっただろうし、技術的にも変わったかもしれないということで、これからもそれでいいのか、そうではなくて少し考え方を変えていくべきかというようなことについての情報があったら、ぜひ教えていただきたい。 ○これからは再評価のことも含めて、川というものを軸にしたメンテナンスということをトータルで考えていくことが必要だと思っている。 川ということを思えば、水という我々の命をつなぐものであるといった基本的なことがあり、環境や観光などいろんなことがあるということを思えば、一番根っこの部分であるメンテナンスにもっと視点を設ける必要がある。それは河川整備計画の中では河川管理という言葉で称されるが、住民の方たちにもそこから発想の基点を持って物事を考えていくことが必要だと思う。 今、川について治水・利水・親水・環境、そういったものに広範に関心がある。一層そういう根の部分をもっと大事にする話があってもいいと思う。 河川美化というのは、いろんな面で行われており、県内を見ると、河川愛護の団体を含めて二百を超す団体が名を連ねてある。例えば、米代川沿いの河川に関係する人たちがネットワークを組んで合同で活動を行うことも必要ではないか。また、県内に大きな河川が三つあるが、河川に対する関心や地域の方々の自主的な河川管理に対する盛り上がりが出ていけばありがたいと思っている。 ○河川の水というのは、水が流れてくるだけではなく、さまざまな成分を溶け込まして、いろんな物質を出してくる。森林がきちんとできていると、非常に良質の水が出る。水の中にいろんな成分が適度に入っているのが非常に大事だ。 森林が開発されると、水質の中では濁質の成分が増えて、表層にある有機物が増えてくる。一番比率的に高く出てくるのは窒素やリンである。流域の乱開発が進むほど、栄養塩というものが増えてきて、下流にさまざまな悪影響をもたらしてくる。 河川の下流の水質という観点では、上流の森林の整備ということは密接に関連しており、うまく連携していくことが必要である。 特に米代川流域は、秋田杉の美林で有名なところなので、そういったものとも連携して、豊かな自然環境をこれからも守っていくような整備を行っていただきたい。 ○米代川という川が自然の形で残されているということは、非常に貴重な存在だと思っています。何かの形で、市民や子供たちが、米代川を勉強する機会が多々あれば非常によいと思います。東京のほうの多摩川で「タマちゃん」というのが泳ぎ出した時のあの市民の騒ぎを見ると、米代川は本当に静かでおとなしくて豊かな川だと思って感謝しています。 ○米代川は、水質が大分悪化しているんじゃないかという話があったが、昔から見ればそうなのかもしれませんが、他の河川の評価というようなことを見ると、今後さらに今迄以上に改善に向けて真剣に取り組んでいかなければいけないと思う。 米代川流域委員会に参加されている皆さんの意見を聞きながら、何か役に立つ気持ちをもっていかなければいけないと思う。 ○これから基本方針に基づいて整備計画を考えていくわけだが、そのときに計画自体にめり張りをつけていただきたい。 特に効率という点で、急を要するところは事業を早く完成させる。それが終わったら次というような、時間的なめり張りが必要だ。 基本方針の中で、対象としている洪水は100年に1回程度の規模で発生する洪水を安全に流下させるものであることを踏まえて、これから20年から30年の間にどのような工事をするかという部分で、流域の全箇所、上流から下流までの全てが100年に一遍の洪水に対応するような断面 (河積)が必要なのかということも、考える必要がある。 都市部のように、人口も、財産も集中しているような場所と、そうではない場所で整備の方向や内容を変えていってもいいのではないのかという気がする。30年に一遍ぐらいの断面 だと、あまり川をいじめないで済むのであれば、残りの部分は、ソフトの面 で対応していくというような組み合わせで、一番川をいじめず、なおかつ人間が安全であるということも可能なのではないか。 河川整備計画を策定する河川としては、東北で2番目ということなので、ぜひ米代川オリジナルというものを目指して考えていきたい。 ○これからの社会資本整備を行うときに、この地域だけがこういう形で社会資本整備したらよくなるというのでは、なかなか合意を得られないということで、少し大上段に物を構えた議論を前半にしていただきたい。 事業を進めるためには、県民の御理解を得なければいけない。米代川と秋田県が、従来、文化だとか伝統だとか経済だとか、あるいは生活のかかわり合いの中で、一体どういうかかわり合いをしてきたのかということを押さえておく必要がある。 その中で、同じような問題が起きている地域との間でのネットワークの様なものが必要という認識をする必要がある。 米代川流域の中で、地域が一体どういうような形の役割をしてきたのか、その中でどういうネットワークができるのかということも議論をしておかないといけない。 流域委員会として河川整備の理念を前半でまとめ、これからどういうことを委員会の中でやるかということを整理しておく必要がある。 社会資本の問題として、県の川と市町村が管理する川、それとの間をうまくネットワークをしてやっていくかというシステムの問題もある。 もう一つの問題は、ハートと言っているが、住民が持っている意識の問題。それともう一つは、NPOみたいな問題がこれからはどういう役割で入れるとか、ボランティアをどういうぐあいに考えていくべきかといった問題、ハードとソフトとハートという問題を、治水と利水と環境という問題の中でマトリックスで考えてみる必要がある。マトリックスで考えずに、端的に考えてしまうからわからなくなってくる。治水と利水と環境をハードとソフトとハートという形のマトリックスの中で議論していくような仕方を考えていただきたい。 |
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