石淵ダムは昭和28年に完成した我が国初のロックフィルダムで、石淵ダムの下流に建設した胆沢ダムが完成することにより、これまで胆沢平野を潤し、洪水被害から守ってきた石淵ダムは役目を終えることになりました。
そこで、石淵ダムのこれまでの歴史を振り返りたいと思います。
建設当時の写真
石淵ダムは堤体に岩石を積み上げる「ロックフィルダム」の国直轄施工第1号でしたが、もともとは「重力式コンクリートダム」として建設が計画されていました。
それが途中で切り替わったのは終戦直後にセメントの生産量が落ち込む一方、復興資材として需要が増加し、使用量に制約がかかるという当時の特殊事情があったからです。幸いにもダム建設地そばに良質の岩石を採取できる山があり、材料確保の労力や経費は大幅に抑えることができました。
ピアと石塊運搬線の状況
石塊投入 昭和27年8月12日
水射作業(水締め)
50Kショベルによる石塊据付・積石作業
石淵ダムの完成
石淵ダムの竣功式は建設大臣代理、衆参国会議員、経済審議庁長官代理、岩手県知事をはじめ関係のあった村人にいたるまでのおよそ600人が集まって盛大に行われました。
竣功 溢流堤(余水吐)下流側
昭和28年6月30日
溢流堤(余水吐)上流側
昭和28年12月2日
竣功式(式典場) 昭和28年6月30日
竣功式(会場)昭和28年6月30日
ダム完成までの変遷 (着工前〜建設、竣功、湛水)
着工前の原景 昭和22年頃
仮締切が完成した頃 昭和24年頃
堰堤基礎工事の途上 昭和26年頃
捨石堤体畳築工事時 昭和27年頃
竣功時 昭和28年6月
湛水後 昭和29年
完成後の石淵ダム
放流ゲート
昭和56年8月23日洪水(ゲート下流)
石淵ダムから胆沢ダムへ
平成24年10月4日の「石淵ダム・胆沢ダム引継ぎ式」にて、北上川ダム統合管理事務所長から胆沢ダム工事事務所長へ管理施設を引き継ぐ目録が手渡されました。石淵ダムは60年近くに渡るその役目を終えました。
最後のゲート開放操作スイッチを押す関係者
開放ゲートをバックに記念撮影