玉川ダムでは10月下旬に秋田県営玉川発電所と合同で、導水管の内部点検を行いました。 導水管は通常は発電放流や利水放流に利用しており、常に中が水で満たされています。内部点検は導水管内に入り、内側から導水管に異状がないか目視で確認するため、導水管内の水をすべて抜いてから行います。 この点検はおおむね3年に1度行っています。 点検の事前準備として通常は取水塔の上部にあり水の上に見えている制水ゲートを、取水塔の下部と導水管がつながっている導水管呑口まで降ろします。 |
【制水ゲートの位置関係】
導水管呑口までの距離は約73m、約70分の時間をかけて降ろしました。 導水管に水が入らないように制水ゲートを降ろしたあとは、導水管内に残っている約1,200tの水を抜水します。 |
【抜水中】 |
【抜水後】 |
抜水後はゲートを上げ、利水放流管が見えるようになりました。 このままの状態で利水放流管の中を乾かすため、この日の作業はこれで終了しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 内部点検当日はダム堤体の下に移動し、まずは秋田県営玉川発電所の隣にある利水放流ゲート室へ入ります。 |
【利水放流管側の内部点検】
利水放流ゲート室の床にある約10mのはしごを降り |
扉を開けると利水放流管が見えました。約2mのはしごを上って利水放流管の中へ。 |
利水放流管は導水管から分岐しており、その分岐部分までの点検を行いました。この直径は2.4m、男性が立って歩いても余裕があります。 普段は上からしか見られない減勢工を横から見るとこんな感じでした。放流量が多い時は導流壁が赤茶色になっているところまで水があります。 |
利水放流管側の点検は導水管との分岐部分までの約22mという短い区間なので、あまり時間がかからず終了しました。 次は秋田県営玉川発電所へ向かい、地下2階へ。 |
【秋田県営玉川発電所側からの内部点検】
入り口がとても狭く、身をかがめて中に入ります。 常に水圧を抑えているだけあって、扉に厚みがあります。 |
入ってすぐのところに、「これが水車?」と思う部分が見えましたが、これは水車を回す水量の調整をするガイドベーンという部分だそうです。水車本体はこの中にあり、この位置からは見えません。 |
少し進むと流水調節弁があります。この位置の直径は2.95mあります。立って通ることはできないので、しゃがんで進みました。 |
導水管の中に照明はなく、真っ暗な中をヘッドライトの明かりだけで進みます。 導水管の底には乾ききらない水が残っており、この部分に足を乗せると滑るため、濡れた部分を避けて肩幅くらい足を開いて歩きました。注意して歩いているのですが、時々暗闇の中から「ドスン…」と転倒しているような音が聞こえました。 |
入り口から約100m先の制水ゲートまでたどり着きました。この位置の直径は4mあります。向こう側はダム湖へとつながっており、かなりの水圧がかかっています。 制水ゲートにある丸い部分は充水バルブという設備です。 |
真っ暗な中でライトを当てて異状がないか確認しています。 導水管の異状や制水ゲートからの漏水もなく、設備の健全な状態が確認できました。 ここで折返し。戻る途中で利水側と発電所側の分岐部分まで来ました。 |
【利水側と発電所側の分岐部分】 |
この分岐の左側が玉川ダムの利水設備側、右側が玉川発電所側となっています。 |
導水管側の内部点検が終わったので、外側に出ます。心なしか入る時より狭く感じました。 |
写真がぼけていて申し訳ございません。 |
地上に戻る途中の扉の中を見せてもらうと、水車本体の下側部分が見えました。この部分も導水管点検に併せて約3年に1度点検を行っているそうです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 点検終了後は、空になった導水管にまた水を満たしますが、制水ゲートを上げて一気に水を入れるのではなく、制水ゲートにある直径約20cmの充水バルブを全開にして行います。充水バルブ全開にすると、勢いよく水が噴き出し、地鳴りのような振動が起きました。 約2時間で導水管内を充水し、制水ゲートを上げて5日かけた作業が完了しました。 |