米代川四七水害に想う

鷹巣町元町 佐藤 善壽


 幼なき頃の思い出としては、米代川の氾濫で鷹巣橋(木橋)の流失や舟場地区の浸水等の記憶はあったが、昭和四七年の大洪水はそれを遙かに上まわり想像を絶する水量 でした。
 当時、合川営林署に在職しており何日か続いた雨も洪水前夜は相当量 となり、現場を心配しておった矢先、天神貯木場から異常な増水状況なので緊急避難対応が必要との連絡を受け、直ちに天神貯木場へ急行した。
 先ず、天慶荘の一階の寝具・畳、暖房等一切と雨戸を二階に移動した。次いで貯木場構内の木材流失防止の「ヤバ」作りした昼過ぎ頃は既に水嵩は膝下まであった。その後、事務所等々の処理を完全にして麻生橋の近くを通 る時は、暗やみと濁流で命綱がないと通行できない状態だった。ようやくにして寮(旧七座営林署)に落着いた時は真暗闇、夜十一時頃また騒然となった。麻生集落が危険のため避難命令が出た。住民の生活用具等の持ち出し応援等を終えた時は既に日を越しており、直ちに全員が近くのタタラの坂へ移動し夜明けを待った。朝になり遠望したところ増沢・下田平地区は完全に孤立、反対側の麻生橋は越水し滝状で正しく陸の弧 島と化した。このような状態を二度とおこさないためには、森吉山ダムのような人工ダムも必要かとも思うが、それにも増して必要欠くべからざるものは、「天然のダム」つまりは山元の森林の育成、特に広葉樹林の造成・充実が大切なのです。国の施策として農林水産省、国土交通 省の関係機関が一丸となって真剣に考えるべきことと思う、併せてこのような動きを流域全体の行事として本格的に対応し、定着させて住民の生活環境の安定と安全に資するべきことではなかろうかと思科するものである。 



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