破堤した前後のこと

能代市中川原 中野 洋子 (六十三歳)


 あの日の洪水は、一生涯忘れられない出来事でした。自然災害とはいえ、本当に口では言い表せない大変なものでした。
 七月五日から降った雨が八日まで土砂降り、七月八日夜、避難命令が出ました。でも私達家族は行かないで一晩中、物の片づけ、台の上にあげ、気が付くと薄明るくなり夜が明けてきました。七月九日朝五時頃親戚 に避難した訳です。七月十日家に帰ってみるとあまりのひどさに何から手を付けたら良いのか、ただ呆然とした次第でした。毎日毎日の後片づけでしたが、現在より若かったせいもあったので、頑張れたんじゃないかと今改めて思っています。又、いつか洪水があればと思い、その年の秋に二階を上げました。三十年経った今でも長雨が続くとドキドキしながら堤防に水かさを見に行きます。絶対あのような洪水が起きては困ります。森吉山ダムの建設により、米代川流域の洪水を防ぎ安心して暮らせる日を待っています。



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