第3回子吉川河川整備委員会 議事概要

第3回子吉川河川整備委員会 議事概要

議事概要

議事概要


<意見交換>
(発言者)   ●:委員    ◆:事務局

1.治水安全度について
 

資料-2の5ページにおいて「10年に1度程度の洪水が発生した場合に予想される家屋、農地の浸水被害を防止します」と記載されているが、整備計画において、30年に1度程度の洪水を対象に検討を進めてきたと認識している。この10年に一度と30年の関係性について説明してほしい。

資料では、30年に一度程度の洪水に対して、全川にわたって床上浸水等の重大な家屋浸水からは守れるが、農地は10年に1度程度の洪水まで守れるということを説明している。将来の基本方針100分の1の計画では、農地の浸水解消も最終目標にしているが、30年間の途上の計画ではこういう状況になるということである。

資料-2の5ページの説明が足りない。資料に補足説明を追加してもらわなければいけない。

あくまで30年に一度程度の対策を行い、上流部について評価したら10分の1程度の安全度に向上していたことを説明したかった。

資料-2の5ページの説明の文章を分かりやすく直してほしい。

資料の4ページにある「水田等農地についても浸水被害を軽減することが可能となる」、5ページにある「家屋、農地の浸水被害を防止します」という表現は非常に意味があり大事な表現である。台風などで水田に土砂が入ってしまうと水田の持つ効果、機能が低下する。土砂を取り除くといっても大変なお金と労力がかかるため、農地の浸水被害を防止するという表現は非常に大事である。



2.河道掘削について
 

資料-2の8ページでは、かなり多くの河道掘削を行う計画であるが、低水敷を広げることによって淵が無くなり、単調な瀬が連続するなど、環境に対して非常に大きな問題が出る。この河道掘削を行う際の配慮やミチゲーションなどをどのように考えているのか。

資料の説明として、大まかな掘削方法を提示している。ヨシ、アシが繁茂し、河岸林がある区間も掘削していくこととなる。このため、環境へのインパクトを考慮し、専門家の意見を聞きながらミチゲーションや掘削断面形状の具体的な工夫等を考えることが必要であると認識している。

資料-2の8ページで、掘削に関しては「水辺利用、高水敷植生や低水路環境に十分配慮する」とあるが、例えば「十分配慮し、掘削に当たっては、その位置、あるいは時期を考慮する」などの表現にしてはどうか。掘削する場所、時期、順番などに考慮することで、掘削部の自然の復活が期待できる。

貴重なアドバイスありがとうございます。事業実施の際には十分また御相談させていただきます。さらに、河川整備計画の本文においても反映を検討します。



3.内水氾濫について
 

内水氾濫はあるか。

子吉川の水位が高くなると樋管を閉めるが、8.0k~9.0kの左岸側の境川付近にて、数枚の水田が冠水している。それ以外にも5~6箇所内水氾濫はあるが大きな氾濫は見られない。支川からの氾濫はない。



4.河川環境について
 

発電所や取水堰、ダムなどにより、上下流の連続性が分断され、瀬切れを起こしている減水区間がある。これに対する取り組みの方向性を説明してほしい。

国土交通省では、魚の上りやすい河川を目指した事業制度等をつくり、魚道改善等は行っている。さらに、農業用の取水堰は、農林水産省の事業として魚道の改善等が徐々に進められている。発電所は、民間企業の施設であり、河川管理者として改善命令を出すまでの法的制度環境は整っていない現状である。ただし、地域の意見として河道の連続性確保を川のあり方として示していくことができれば、河川管理者も発電事業者も農林事業者も地域社会の意見に沿った形で努力していくことは可能である。

鳥海ダム上流の発電所付近は、緑の国勢調査の範囲に入っていない。子吉川水系として調査している箇所との整合性をどのように図っていくのか。

河川管理者は異なるが、河川整備計画策定を契機に水系一本として捉え、河川管理者間の連携を強化し対応していきたい。

環境の面から見ると、モニタリングの概念が重要である。その体制をどのように整備するか整備計画に盛り込んで欲しい。

モニタリングについて、整備計画本文に組み入れるよう検討する。



5.正常流量について
 

正常流量の説明では、既得水利権分の流量が省かれているような印象を受ける。

正常流量の検討項目として動植物の保護などのほかに、既得の水利権での必要な量も加味して、おおむね11m3/sという基準地点での流量を算定している。

資料にダムの有効貯水容量が3,900万m3/s、治水容量が2,100万m3/sとある。この差額分の1,800万m3/sは、正常流量と予定されている水道の容量であり、既得の水利権を見込んでダムを計画している。

正常流量は、最低限の流量であると認識している。資料-3の5ページでは、過去32年間で3分の2以上もこれを下回る渇水流量を示しており、最低限の必要な動植物の保護、漁業、景観、観光、塩害の防止等が守れなかったということになる。なぜこれがこれまで達成できなかったのか。

正常流量は自然の状態での流れとは違う。正常流量は自然の状態では確保できない。自然の状態で瀬切れを起こしているところもあると思う。正常流量を流すことでの生態系の変化も出てくる可能性もある。

ダムができると子吉川のアユは釣れなくなるのではないかと懸念する人がいる。正常流量を維持することで、生態系に影響がないというデータを示してほしい。

自然流況がもともと恵まれない川であるのか、それとも、取水量が多いことからこのような流況になるのかを調べ、次回報告する。併せて、正常流量はどのようなものかについて次回資料を提示する。



6.鳥海ダム計画について
 

水温やpHをコントロールする機能を鳥海ダムは持っているのか。ダム計画地の上流にある発電所下流では酸性水の区間もあり、鳥海ダムをつくることによって、それがどれくらい緩和されるのか知りたい。

鳥海ダム計画地の下流3.0~4.0kに袖川発電所があり、鳥海ダム計画地上流の朱ノ又川から導水している。導水地点ではpH4.0~4.5の酸性水であるが、その後、普通河川からの流入もありpH6.0以上まで希釈されている。水温は、貯留されることによって水温の上昇があると想定されているが、細部の解析は行っていない。

鳥海ダムの計画について、多くの市民が関心を持っているが情報を入手できる手段が少ない。また、いつできるのか、なぜ調査に数十年も掛かるのかなどの疑問も抱いている。

河川整備計画は法定計画であり、この計画に位置づけられれば、これから説明の仕方もかわってくる。しかしながら、何年から着工できるかということについては、さまざまな要素が重ならないと確定できないので、現段階では断言できない。

一般の人は、事務所にパンフレットをもらいに行くわけにはいかない。ホームページの充実を図ってほしい。

ダム完成後に農業用水の取水地点での水温の変化はどうなるのか。

ダムから取水する場合に、水温が水田に悪影響を及ぼさないような形で取水するにはどうしたらいいか、下流に濁水を流さないようにするにはどういう形で流したらいいかなど、シミュレーションや実験的なものも含め、今後鳥海ダム調査事務所にて検討していく。

ダムにより一定の流量が確保できれば、産卵前のサクラマスの遡上に期待できる。



7.整備計画における事業評価について
 

整備計画実施による費用対効果には、利水の効果は含まれていないのではないか。

費用対効果分析は治水事業を対象として分析している。利水については、灌漑、水道事業など各ユーザーの事業であり、事業者がそれぞれの費用対効果を検討している。河川整備計画は河川管理者が責任を負うという範囲の計画であることから、治水事業としての評価をしている。

鳥海ダムの費用対効果は、別途に分析し、審議する機会はあるのか。

河川整備計画を策定すると、計画に盛り込まれた事業については、事業評価を受けたという位置づけになるので、あえて事業評価委員会での審議は必要としなくなる。ただし、ダムのみの費用対効果については、今後実施する。



8.子吉川整備計画の特性について
 

治水・利水・親水という関係がすべて取り入れ子吉川の整備が果たしてできるか、結局は何かを犠牲することにならないか。

子吉川に限って言えば、治水・利水・環境について、我々が提案しているこの計画をどのように各委員が評価するかだと思う。一番いい計画ではないかという提案をしており、我々として順位づけはしていない。これまで説明した内容を全て達成できるとは言えないが、調和に対しての努力は、各専門の先生方から意見を聞いて進めていくことが適当と考える。

整備計画に子吉川の特徴を盛り込んで欲しい。

子吉川は、地域社会とのつながりという意味では、東北の河川の中では最も進んだ河川である。モニタリング、河川管理、河川利用などの面において、子吉川がこれまで育ててきた取り組みを河川整備計画の中で評価して、将来的にはもっと発展させていくような整備計画の方向づけをしたい。



9.その他の意見、感想について
 

「主要な人と自然との触れ合い活動の場」ということで子吉川における活動を紹介する。
今年はじめて子吉川で、漁協組合の協力のもと、子吉川の「がに」まつりを開催した。大変賑わい、新聞等でも紹介された。
本荘第一病院の小松院長から、患者さんがハゼ釣りした体験がないので、その体験をさせてほしいとの依頼をうけ、川に親しむ体験活動として、その計画を進めていた。
子吉川にある船着き場を利用して、市民会議のメンバーや地元の船主の協力により、小学生たちが船に乗り、子吉川に親しむ体験学習をしている。
小学生を中心とした「子吉川川博士」というクラブがあり、西滝沢水辺プラザにおいて、子吉川のDO、COD、pH、濁度、大腸菌といったものを調査している。

異常気象が相次いでいる中で、何を最優先させて考えたらいいのかということを考えている。人命、生活、環境などすべてにおいてパーフェクトなものはかなり難しいと思う。

川をきれいにする運動や不法投棄の監視員も行ってきたが改善されていない。そのため流域が一体となって取り組みが出来れば、もっときれいな川になる。



10.意見のまとめ
 
・理念、目的、目標等からなる将来像を描き、子吉川の特徴を示す。
・河川整備計画の3本柱の治水、利水、環境が独立でなく、全体として整合を図った計画として整理する。
・鳥海ダムの有無による河川整備等の比較表を整理する。
・鳥海ダムによる水温や水質への影響、正常流量の説明資料を追加する。
・「浸水被害の軽減」二十六木橋上流の説明として、対象洪水の位置づけの説明を充実させる。
・Q&Aを取り入れるなど、ダム紹介HPの内容を充実させる。
 以上のとりまとめを行い、次回子吉川河川整備計画素案の提示を行う。