第2回子吉川河川整備委員会 議事概要
第2回子吉川河川整備委員会 議事概要
議事概要 |
議事概要 |
<現地調査の感想> |
1.山、川、海までの川の一体性を見ることが出来ました。 | |
○「森(山)・川・海までの一体的な視点が必要である」ということが重要で、川は単独であるわけではなく、山から海に注ぐという一体化した考え方により、私たちは植樹活動を行っている。 |
2.子吉川により、流域の暮らしが支えられていることを再度認識しました。 | |
○実にすばらしい景観であると同時に、やはり河川を支えるように、水田が非常に広がっており、それに道路、橋梁が見られ、これらが皆、子吉川水系であることを感じた。 ○川に沿って集落ができ、人々が生活をしている。子吉川が、非常に多くの人々の生活の根拠となっているという印象を受けた。 ○一本の川を利用して耕されている田んぼの広さを見ると、由利本荘の産業というのは、この川によって支えられてきたと感じた。 ○一定の水量を確保することは、基幹産業である農業を支えていくことであり、非常に重要だと思う。極度の渇水や、洪水が起きればみんな水没するということがないような整備の仕方が必要である。 |
3.川が短く、急流河川であることを再度認識しました。 | |
○あっという間に上流部、あるいは源流部というところまで行ってしまい、考えていた以上に短い川だと認識した。 ○雪解け水に雨が重なったり、梅雨末期の豪雨時には、上流から一気に水が押し寄せて、下流部は大変だと認識した。蛇行しており、危険なところは早目に手当てしないと、いざというときに大変な事態になるという印象を受けた。 |
4.川が長いとも感じられました。 | |
○空から初めて子吉川を見て、子吉川は長いということが第一印象である。 ○子吉川は急流河川であるという話だが、下流はゆっくりと流れており、上流に行くと、若干水が波打ち白く流れているようなところがあるが、急流河川ということがあまり見えなかったという印象である。 |
5.川が狭く、蛇行しており、氾濫の危険性、治水の必要性を認識しました。 | |
○あれほど蛇行して、流れが急で、いざ水嵩が多くなれば、大変だという印象を持った。治水する上には非常にいろいろな困難があるが、これからみんなで力を合わせて、治水・利水を検討していかなければならないということを感じた。 ○初めて上空から見て本当に感激した。鳥海まで行ったが、次第に川が狭くなるのを感じた。 |
6.早急な堤防、ダムの整備の必要性を感じました。 | |
○堤防が予定されているところでは至急に整備、完備していくことの必要性を感じた。また、ダムについては、大至急完成してほしい。玉川ダムとか森吉山ダムに負けないようなダムを実現させてほしい。 ○水害のない立派な計画のもとにダムもつくっていただきたい。下流のほうも、かなり川の整備をしなければならないと考えた箇所も見受けられた。その点も今後よく調査して、1日も早くよい子吉川にしていただきたい。 ○旧本荘市の水道水の水源地を上空から見て、水の色もあまりよくなかったような感じがする。そういう面でも、ダムがあれば、市民の方々がきれいなおいしい水を飲めるのではないかなと感じた。 ○ブナの自然林を集水域とする鳥海ダムの水は、この流域の方々にとっては大事だと思った。 |
7.河岸段丘などの自然地形、沿川の地形を考慮した治水対策が考えられるのではないか。 | |
○河岸段丘が、あまり発達していないため、いざという場合は、洪水を田んぼに逃してやるしかない、その分農家の方が被害をこうむるが被害をいかに軽減できるかということも、護岸等の設計に大いに反映させる必要がある。 ○流域の土地利用が非常にうまくいっている感じがした。居住地と田畑が河岸段丘で区別され、自然を利用しながら土地利用されている。したがって、第一番目に人間の居住地を守るため、自然の地形をうまく利用したような計画をしていくことが可能と思う。そのためには流域住民の合意が非常に大事だという印象を持った。 ○住宅地などの重要な地点だけを守り、水田を遊水地的な使い方をしていくことができると思う。急流河川なのですぐ水は引くため、超過洪水があった場合、水田の利用というものも考えたやり方が、子吉川ではできるのではないかという感覚を得た。 ○矢島付近では地すべりにより道路が被災するようなところに河川があり、治水上河道計画の面で問題があるのではないかと思われる。地すべり地形かどうかを点検し、治水上の河道計画に反映して欲しい。 |
8.河畔植生状況の違いや植生と治水のバランス取りの難しさを再度認識した。 | |
○上流までいくと、直轄から上の区間は突然木が両側にあるが、下流は単に川だけあって、河畔林が驚くほど発達していない。川幅、河川敷も含めて、川自体が非常に細い。逆の言い方をすれば川の容量がかなり小さい川だと実感した。 |
9.下流部の濁りの原因を追及することが必要ではないか。 | |
○河口で一番気になったのが川の濁りであった。問題は、濁っているということの負荷がどこから来ているのかというのを明らかにしなくてはいけないと思う。 |
<意見交換> |
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1.今回の議論の視点について | |
●資料-2の6ページを見ると、鳥海ダムの洪水調節効果等も示されているが、算定されたからには、掘削や遊水地などの計画も具体的にあるのか、あるいはこの委員会でその部分に関する検討を行うのか、教えてほしい。 ◆この検討における概略図がすべてである。具体的な内容は3回目に行いたい。今回は、こういう基本的な考え方で詳細検討していってよいかの確認をお願いしたい。 ●あくまでもこれは整備計画であり、この委員会では、基本方針の2,400m3/sをかえることはできないということか。 ◆2,400m3/sが、22年7月の戦後最大洪水を対象にするのはこの川にとって大き過ぎると整備計画委員会の御判断があれば、下げることも可能である。 |
2.対象洪水について | |
●昭和22年7月の雨というのはどの程度の雨か。 ◆2日間にわたって248.9mm。100分の1が統計上230㎜弱なのでそれを超えている。実績の流量が3,100m3/sより少ないかというと、二十六木橋に来る前に氾濫しており、到達した流量は少なくなっている。 ●資料-2の4ページに戦後最大の洪水が示されているが、既往最大の洪水というのは一体どの程度なのか。 ◆一番大きな被害が発生した昭和22年7月を対象にしたいというのは、流量というよりは、ここに住む方々がこの洪水を実体験されているということである。戦後の大洪水である22年7月洪水から身を守るという目標を掲げたほうがよいのではないかということ。 ●昭和22年の最大の被害にほぼ対応できるような計画ということであれば、この河道の掘削と鳥海ダムの両方をあわせた、計画でいいのではないか。 |
3.河道掘削について | |
●河道で持つ分として2,000m3/sを当面の目標とすることがメインの議論になると思う。 ◆当面の目標を2,000m3/sとすると、現在の河道では1,400m3/sしかないので、如何に残り600m3/sを確保するかが重要である。 ●築堤は計画的に行われているが、河床掘削は手をつけたくてもつけられないというのが現状ではないか。 ◆今、岩木川でも河道掘削を中心にやっている。大河川でも掘削というのは主流である。 ■子吉川でも行うことができるか。 ◆できる。ただし、深さを縦方向に切ることにはならないと思う。堤防の間に比べて通常の水が流れるところが狭いため、広げるということになれば、河床を傷めることをしなくともよい。我々としてはそちら側を選択することになると思う。 ●環境面からみると河床掘削ができる状態ではないと思ってしまう。 ◆次回に具体的な掘削の絵を示すのでご判断いただきたい。詳細の検討の中では、河床のほうに手を加えるとコストも上がり、生態的に影響も大きいため、横のほうに広げていくことを最優先で考えたい。 |
4.環境の価値、文化的価値の評価について | |
●治水は治水、利水は利水、環境は環境と、完全に分けてそれぞれ検討することになっている気がする。資料-2の6ページに書いてある案では「アユの産卵場所等の保全に配慮が必要」とだけ記述があるが、どのようなインパクトがあるのかをもう少し明らかにしてほしい。ここを充分に検討しておかないと禍根を残すのではないか。また、文化的な価値の損失などを、もっと十分に検討しておくべきである。 ●そのために委員会スケジュールが先に説明されていると思う。まず治水、利水、環境といったときに、一番大きな治水をどうするかということでこの案が出てきたわけで、今の議論は3回目でいいのではないか。 ●今の段階で、比較する段階での環境への影響、社会への影響、あるいは文化への影響とか、その部分をもう少しきっちり検討した方が良いのではないか。 ◆検討を進め、致命傷があった場合、またスタートに戻ってくるということになる。しかしながら、入り口を決めておかないと検討に入っていけない。そういう意味で、2,400m3/sを対象にするということ、それを処理する組み合わせとして、河川改修とダムというバランスで検討を進めることでいかがでしょうかと、そこだけ御確認いただけたら次に進める。 ■環境への影響について、資料ではアユしか書いていないが、これは魚類一般として記述してはどうか。また社会への影響、環境への影響について、次回はもう少し定性的なものをきちっと整理し、定量的にできるものがあればそれを整理してほしい。 |
5.超過洪水対策について | |
●堤防やダムの整備途中段階で、堤防のほかに二線堤や副堤を考えたり、宅地等を囲う輪中堤のようなものを、先行して行うという方策ができないのか。 ◆超過洪水に対しての対応というのは極めて重要である。現在の子吉川の整備量としては、おおむね10年に一度以下の能力しかない。超過というよりも、常態として改修を進めなければならない状態にある。床上浸水等の重大な浸水被害を防ぐという防御目標にせざるを得ない。もう少し土地利用に応じた治水対策を次のステップで入れていくかという議論は当然あると思う。 ●資料-2の3ページにある、遊水地は、どのあたりにどの程度のものをつくれば400m3/s調節できるかといったようなことは検討されているのか。 ◆一般的な中流域の氾濫区域の一部を遊水地化することは、議論している。しかしながら、既に調査をやっているダムと違い、事業の確度という意味で、現時点で具体的にこの場所に遊水地をつくるということを示すことが出来るレベルにはない。 |
6.ダム建設に関する地域要望等について | |
●地元の方は鳥海ダム建設に賛成か。また、環境アセスの対象となるようだが、自然保護団体などから環境に対する指摘はないか。 ◆東北地方整備局の認識としては、鳥海ダムについては、早期着工に対する地域からの御要望は強く受けとめている。一方では環境面でもすぐれたところにダムをつくるということで、法律に基づくアセスメントの対象事業ということもあり、他のダム同様、極めて丁寧に環境に対しては対策を図っていくという考えである。 ◆これまでの環境に対する御意見等も、次回の資料には入れさせていただきたい。例えば、「地域の意見」として項目をつくり、ダム建設や環境に関する意見を整理したい。 ●ダム建設について、ヘリコプターから見た由利本荘市の地形、私が戦後最大の22年7月の水害を秋田市で体験したことを含めると、参考案の全川的な河道掘削及び築堤は、非常に困難な点があると思う。やはり具体的方策と今事務局で提案されている案に賛成していきたい。 |
7.意見のまとめ | ||
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