第1回子吉川河川整備委員会 議事概要

第1回子吉川河川整備委員会 議事概要

議事概要

議事概要

○事務局から非常に懇切丁寧に子吉の川づくりについて説明を受けました。今日は時間をたっぷりとっていただいておりますので、今から意見交換会という形にしたいと思いますが、こういう委員会、大概しゃべり足りなかったという方が多いものでございますから、今日は少し時間をとりまして、お一人大体4分から5分ぐらいで自己紹介を兼ねて、御意見、御質問、あるいは思い出話でも何でも結構でございますから、いただくということにしたいと思います。

○近年、洪水、台風、塩害、塩水遡上などいくつかの複合的に災害が重なって発生している。最近の降雨を把握して取水導水の仕方など灌漑に関わることで農家の方々に役立つ所見があれば教えて欲しい。

○子吉川本流が第一に大事だが、同様に左岸、右岸に展開する田園空間の面的な広がりについても、圃場、集落についてやはり治水、利水、環境、そして連携がとれた郷土づくりを考えなければならない事を痛感している。

○子吉川の歴史、あらましについては、「子吉川」という冊子が非常に充実しており、これをまとめて一般の人に提示すれば、子吉川に対する認識が深まっていくのでないか。

○全国で2,100ちょっとの病院が参加している病院団体で、全日本病院協会というのがあるのだが、そこの全日本病院学会から、この癒しの川での活動が学会賞をいただいた。

○子吉川には上流、中流、下流と癒しの川の箇所以外でも、良い区間があり、大都市の人方にとっても癒しのある子吉川として挑戦してみたい。

○会員が千人以上いるので、会員全員で子吉川をきれいにして、魚のすみよい川づくりに励んで、みんなで楽しんでもらいたいと考えている。

○今後はいろいろな魚も放流するが、カニも今年から新しく放流する計画である。

○子吉川は洪水調節と、それから利水、治水という面で、まだまだ河川の整備をしなければならない。

○沿川の方々が、川について認識を新たにし、国が整備してくれるという安心感ではなく、整備して欲しいという行動を示していかなければならない。

○鳥海ダムについては、ダムがあって、河川の維持用水が流れてくれば、4年に1回の渇水、塩水の遡上の問題などは解決できるし、河川水のコントロールができるようになる。着工するまでに、また、満水になるまでには時間がかかる。だからこそ早く着工しなければならない。

○古くなった既設の堤防は果たしていいのかという問題もある。昨年の新潟のような大雨が来た場合に、その堤防がどうかと。旧本荘市の地域にも、やっぱり人家の密集地帯がありますので、相当前につくられた堤防が、大雨に耐えうるのかどうかという点検の作業が必要だと思う。

○洪水防止、利水といった観点も必要ですが、市民に親しまれる空間づくり、親水空間、あるいはせせらぎの空間づくりといった分野での利用が進んでいくのではないかと思う。

○子吉川の場合、雨が降ると一気に河口まで流れてきてしまうことから、少ない雨でも洪水になりやすい。少ない雨でも、どうやって被害を抑えていくか、あるいは最悪どこかへ逃がしてやるという対策は急務である。

○川だけではなく、国有林管理を初め、森林から海岸まで、やはり流域保全と水田の涵養を含め、農水省と一体となった取り組みが必要である。また、森林の保全、整備というものがきちんと守られてくると、海や川の魚といったところまで絡んでいくと思う。

○昭和49年のように鳥海山が噴火した場合、特に積雪期に噴火すると、積もっていた雪が一気に解けるなど、大変な災害になることが予想される。何百年に1回かもしれないが、このような大規模な災害を踏まえて治水、利水を考える必要性も御検討いただきたい。

○子吉川のBOD値をみると、本当に自然に近い水質の川が流れている。自然に近い水質の良好な水を飲みたいというのは、流域の住民の願いであるため、この水質を維持していくことを考えていただきたい。

○子吉川は資料「現状と課題」の3ページに河床勾配の図面のとおり非常に急流河川である。同じ急流河川といっても、常願時川は本当に滝のような川ということで有名な川であり、どこを見ても石ころだらけ、そういうところが多い。一方、子吉川はどこを見てもそういったところがない。しかも、川渕まで人々が住んでいる。ここからわかるように、子吉川流域は、保水機能というか、森林が鳥海山麓に発達しており、まあ確かに雨が降るとすぐに洪水が出てくるだろうが、それを緩衝する自然の力が非常に大きいのではないかと感じた。

○資料-6「地形特性を活かした治水対策の実施」で記載されているが、子吉川が急流であること、さらに鳥海山の山麓にはたくさんの雨が降ることを考えると、ダムをつくって、その水を蓄えることは非常に合理的なことだと思う。

○中流域では資料-6「河岸段丘の低地の遊水機能を活かす」で記載されているが、中流から下流では、このような人工的な施設はなかなかつくりにくいというのが、これからの世の中である。そのため、河岸段丘をうまく利用された治水の方針は、理にかなった方法ではないかと思う。

○流量が豊かであって、水がきれいであるということが癒しの川の第一条件であり、この子吉川ではうまく実現されている。そういった機能を生かすような、うまく自然の地形を利用した河川整備計画をつくっていきたい。

○この間初めて常願時川を見てきたが、河口に40~50cmの礫と言ったほうがいいかな、ごろごろあった。できれば、事務局で写真をもらって、もちろん上流の長さが違うので、若干問題はあるが、比較の写真なんか用意してもらえれば、非常に地元の人にも理解してもらえるのではないか。

○環境に関する説明がものすごく不足しているという印象を持った。特に、河川法が改正されて環境に対する配慮が追加されたことが今までいろいろな機会で言われながら、河川整備計画の話になると、いつの間にか環境の話がなくなってしまう。

○例えば、癒しの川でも、人との触れ合いでも、学習の場でも、魚がいて環境があるから初めて、そういう場となる。

○特に国交省でやる部分は、ハードの部分、瀬とか淵、あるいは河川敷など非生物的環境に手をつけることが生物的環境に影響を与えるというのは当然のことであり、その関係を説明してほしい。

○海、山、川、森との関係、川だけではコントロールできない部分を念頭に入れるべきなのではないか。

○誰がこの整備計画を保証するのか、あるいはこの責任を持つのか。生物を守るという言葉だけで、生物、環境は整備できないので、その目標なり実際の実施に関する事項の中で具体的な部分も入れていく必要があるのではないか。

○鳥海ダム調査事務所が設置されてから12年になり、いつダムに着工するのか、地域の人々の将来設計で頭を悩ませているということを聞いている。

○昨年は非常に自然災害、特に洪水による災害が多かったが、山に集中豪雨が降ると、鉄砲水のような濁流が来る。鉄砲水の事故での被害もあるので、急激な鉄砲水を防ぐにはやはりダムのような整備を、きちんとした位置づけで進めていただきたい。

○子吉川は最近、本物の癒しの川にだんだん近づいてきたなと思っている。心の癒しを求めて毎朝散策される方々、楽しんでおられる方が増えてきた。

○国土交通省で5種類のハーブを植える計画のあるゾーンの中にヒバリの巣が1個見つかったが、ひなが一人前になって巣立つまでの間、工事を中止しましょうというご配慮を秋田河川国道事務所からいただいた。子吉川河川懇談会の提言において「自然と共存のできる川づくり」というのが基本方針にあるが、自然と人間の共存の川づくりという点でよかった。

○子吉川全域を考えていくときには、国と県と流域全域ということで、連携をとりながら進めて考えていくということをお願いしたい。

○由利本荘市では、今までの本荘市という狭い地域という考え方から、子吉川全域という考え方でどう進めていったらいいのか、市民団体の側からの課題だろうと思う。

○治水、利水、そして環境、やっぱり難しいなと思う。

○12年くらい前は子吉川の河畔植生は寂しかったが、最近では復活してきているところだが、やはり治水を考えると、どこで環境と治水の接点をどのように設けるべきかというのがやはり難しいと思う。

○近年、河川の災害が多くなってきて、防災、あるいは減災をもう一度見直して、ここで検討してみる必要があるのではないかと思う。

○昨年の新潟、福井、福島のような降雨が秋田であった場合にはどうなるのか、その知見を早く収集して、何が破堤、越水、溢水に至った原因なのかということを検証していただきたい。

○秋田県の社会情勢を見ると、高齢化が深刻で本当に水防団に期待できるのか。期待できそうにないとすれば、これを補う手段を、堤防の構造なり他のことで補う必要があるのではないか。 洪水ハザードマップを本荘市ではつくっておりますが、市町村合併して由利本荘市になったことに伴い、洪水ハザードマップの見直しが必要ではないか。また、住民に普及しているのかどうかの把握、住民に普及するという立場のサポートが少し足りないと思う。

○安全で安心できる川づくりが第一であり、これに関する説明をもう少ししてほしい。

○ヒバリは堤防全体の草原に生息している。堤防の草刈りを6月いっぱいまでに1~2回やるが、そのために失われる命は相当なものである。人夫を頼んで草刈りをさせると、無意識のうちに鳥獣保護法に触れる行為が行われており、これは見直していただきたい。

○大臣管理区間というのが3つに分かれている。矢島町あたりは大臣管理区間に入らないのか。国交省の管理区間はどこまでなのかを教えていただきたい。 →委員会時 事務局からの回答:大臣管理区間は、河口から旧由利町の町境まで+鳥海ダムの計画予定地

○「川づくり」という言葉が使われているが、水力発電や頭首工の取水、排水の量と位置がわからない。そのような情報が欲しい。

○これだけの植物が生えているのであれば、鳥や他の動物たちも生息している。その状況の調査をした上で、植生をどのようにするのかを意思決定していかなければならないと思う。

○川全体のこと、水域全体のことを考えると、秋田県の方にも委員の中に入っていただきたい。
→委員会時 事務局からの回答:事務局として参加

○鳥海ダムをつくるということを前提にして水量調整しているが、鳥海ダムで洪水調節などをやれば、どの程度植生が保護できるかというのも数字で出てくると思う。そのデータは欲しい。

○安全・安心の川づくりということですが、そのほかに「快適」だとか「美しい」という言葉を入れていただきたい。

○子吉川の整備計画が地元にこういうメリットがある、東北全体で整備することがどういう意味があるとか、あるいは秋田県全体でどういう意図をするのかを少し大上段に書いておいたほうがいいと思う。

○整備の目標というと、ああやります、こうやりますという話になると思うが、むしろやらないことも目標になるのではないか。つまり予防的な対応、現状をどうやって守っていくのか。何もやらないで守ることは非常に少ないお金でできるという部分を考えるべきだと思う。

○整備の目標に今あるもの、現状の自然をきっちり把握する、あるいはモニタリングを経時的にやっていく中で、やらないこと自体がどれくらいに重要な意味を持つのかという視点も大事ではないかと思う。

○医学で言うと、予防医学と臨床医学とケアとがあります。河川で整備計画を立てるときに、そういう計画を中に入れることは可能ですか。

○堤防で言うと、予防は、現在ある川の堤防を見たときに、ここの点とここの点とを整備しておけば、多分こういうような水害の被害が起こらないだろうと。現実に水害が起きたときは、これは臨床的にやらなければならない。臨床的にやるときにはどういう予防をしていたかを検証し、どのような手順で対処するかというようなシステムをつくっておけばいい。洪水が起きてしまった後のケアとして、どのようなシステムをつくっておいたら、復旧に対して効果があるかということになる。

○河川情報図を国交省で作成しているので、それを毎年更新、チェックする。あるいはいろんな整備をやった後にモニタリングをして、それが機能しているのか、あるいは瀬とか淵がこの区間においてどういう機能を果たしているのか、そういうことを把握して整備計画に生かす。それは場合によって、何もやらないことになるかもしれない。そういった意味で全体の河川整備の目標というのが、あれつくる、これつくるということだけではなくて、やらないことも記載すべきであると思う。

○多分それはやっておられると思う。それをうまく仕分けをしておけば、ある種のものは臨床に入るし、ある種のものはケアに入るということだと思うので、ちょっと整理の仕方を考えていただければいいのではないか。

○ほかの先生方よろしいでしょうか。今日は実は時間たっぷりとっていただきましたので、十分御意見いただけたかなという感じいたしますが、まだ言い足りないところがあるかもしれません。次回にぜひよろしくお願いしたいと思っております。

(以上)